親知らず
親知らずとは1番手前の前歯から数えて8番目の歯、最も奥にある歯のことを指し、第三大臼歯あるいは智歯とも言います。
親知らずはその名の通り、乳児期に生える歯ではないため、親も知らない歯ということから「親知らず」と名のついた歯です。
親知らずの存在の有無、生えてくる時期には個人差があり、また上下左右4本が必ずすべて生えてくるわけでもありません。
親知らずがもともとない人、歯肉に埋まっている人、真横や斜めに傾いて生えている人、大きさなども様々です。
親知らずは、人類が進化してきた過程において退化する傾向が強くなったことで存在の有無、生える位置、大きさなどが人によって異なっています。
この親知らずですが、真っ直ぐ生えてこないことが多く、そのため噛み合せが悪くなる原因を作っています。
しかし、すべての親知らずを抜かないといけないわけではありません。
当院では以下のような状態が確認できた場合、抜歯をお薦めしないこともあります。
・上下まっすぐきちんと生えていて、上下の歯がしっかり噛み合っている。
・顎骨に、親知らずが完全に埋まっている。
しかし、親知らずがご自身では非常に見えにくく場所に生えているため、ご自身で見えていなくても歯肉の中で横を向いていたり、虫歯になっていたり、隣接する歯に悪影響を及ぼしていたりすることもあります。
ご自身で判断せずに、一度歯科医院にて確認していただくことをお薦め致します。
親知らずに起因する疾患
親知らずが以下に挙げるような状態になった場合は、親知らずを抜歯する必要があります。
- 智歯周囲炎
- 親知らずがまっすぐきちんと生えていないあるいは親知らずに歯肉の一部が覆いかぶさっていたりすると、ブラッシングがきちんと行き届かなくなります。
このような状態では親知らずならびに周囲の歯が不潔になり特に、親知らずの周りいある歯肉が炎症を起こしやすくなります。 このような状態を智歯周囲炎と言い、親知らず周りの歯肉が腫れる症状や炎症が広範囲に拡大してしまうと口を開きにくくなることなどを引き起こします。
- 虫歯
- 智歯周囲炎が発症する原因と同様に、虫歯が親知らず自身にまたは親知らずと親知らずの手前にある大臼歯との間にできてしまいます。
- 歯並びの不正
- 真横に生えた親知らずが親知らずの手前にある歯を押して、歯並びが悪くなることがあります。
しかし、すべての親知らずが歯並びに悪影響を及ぼしているわけではないので、歯並びを矯正する際に親知らずを利用することもあります。
親知らずの抜歯
親知らずの抜歯は、その生え方によって施術方法が異なります。
当院には、親知らずの抜歯施術について豊富な経験を有する歯科口腔外科出身の歯科医師が複数おりますので、多少複雑な施術を必要とする抜歯でも対応可能です。
下顎については下顎管という大きな神経が親知らずが生えている付近を通っているため、安易に抜歯するための施術を行うとこの神経を傷つけてしまい、麻痺を引き起こすことがあります。
そのため、当院では歯科用CT(親知らずの抜歯に関しては保険適応可)を用いて、その生え、下顎管の位置や施術対象から部位からの距離を正確に把握した上で施術方法を検討します。
下顎管に非序に近い場合などの非常に高度な設備を有して入院設備のある病院へご紹介という形を取らせていただいくこともおります。
親知らずの抜歯の手順としては、以下のような流れで行います。
① 親知らずの生え方によりこの処置は変わりますが、歯茎に埋まっている場合は歯茎を切開します。
② 骨の中に埋まっていた歯が見えてくるので、歯の周囲の骨を削り取ります。
③ 歯の頭(歯冠)と根っこ(歯根)との部分を削りこんで分離し、頭の部分を特殊な器具で取り出します。
④ 根っこの部分を特殊な器具で取り出しますが、根っこが複数ある場合は根っこの部分を分割して取り出します。
⑤ 抜いた穴の部分を掃除して、切開した歯茎を閉じて止血して終わります。
痛みは2〜3日程度続く場合が多く、腫れは3〜7日間程度続きます。